LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 149 構造言語学に理論的基盤を置く日本語教育 (JAPANESE LANGUAGE EDUCATION BASED ON THE THEORY OF STRUCTURAL LINGUISTICS) Ai Sumirah Setiawati Semarang State University Abstract Structural Linguistics is an approach to linguistics originating from the work of Swiss Linguist Ferdinand de Saussure. Saussure stressed examining language as a static system of interconnected units. Structural Linguistics involves collecting a corpus of utterances and then applying discovery procedures to them in an attempt to classify all of the elements of the corpus at their different linguistic levels as the phonemes, morphemes, word classes, noun phrases, verb phrases, and sentence types. After Saussure, the history of Structural Linguistics branches off in two separate directions. First, in America, linguist Leonard Bloomfield's reading of Saussure's course proved influential, bringing about the Bloomfieldean phase of phase in American Linguistics that lasted from the mid 1930s to the mid 1950s. Second, in Europe, Saussure influenced the Prague School of Roman Jakobson and Nikolai Trubetzkoy, whose work would prove hugely influential, particularly concerning phonology, and the Copenhagen School of Louis Hjelmslev. Teaching methods which are based on structral linguistics are ASTP (Army Specialized Training Program) and Audio Lingual Method (AL-Method) also known as Michigan Method, Fries Method, or Oral Approach. During World War II (1943-1044), there were 20 countries which used these teaching methods including Japan, and brought a great result especially in Japanese language education. Keywords: Structural Linguistics, Saussure, ASTP, Audio Lingual Method, Japanese Language Education はじめに 言語は語学の対象として社会的な活動に欠かせないといけない現像となっている。この 社会的な活動は範囲やそれによっての言語の使用が広いため、言語学の分野もたくさん 現れてきた。例えば、一般的な言語学、記述言語学、対照言語学、構造言語学、人類言 語学の五つの服分野になっている。 ヌルハディ(1995年)は、「構造言語学は行動心理学の理論に基づき、物事の存在が自 150 LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 明的(empiric)に証拠された上で認められるp.180。」と述べている。この心理学は、内 面(メンタル)的より、外面的な物事に重心をおいいている。 サルティニは構造言語学は記号学者が参考としてよく使うメソッドであるとのべた。ス イスのフェルヂナンドソシュールによって提唱されたアプローチである。このアプロー チ伝統的なアプローチに対しての対応によって提唱された。構造言語学者は伝統的な分 析に不満足を感じて、新しい形で言語のアスペクトの説明を探した。 構造言語学 1. 構造言語学とは 構造言語学は、スイスのフェルヂナンドソシュールが発表し始めた言語学へのア プローチです。このアプローチは1916年にCourse de Linguistique Generale または英語のCourse in General Linguistics という本を通して発表され、相互連結した単位の静的システムとして言語を調べ ることに強調した。ソシュールは、通時的な(Diachronic)分析から共時的な (Synchronic)分析へともたらすため、現代の言語学の父として有名である。 Kariono(2008)は「ソシュールが提唱した一つのアイデアは言語をラングとパ ロルに区別されたものである。」と述べている。ラングはフランス語である。リ チャーズら(1992)は「ソシュールによると、言語体系、つまりある言語の話し 手が皆同じように知っている、あるいは「使用に同意した」音や語の配列の仕方 を意味する。一方、人々が話したり書いたりする時の実際の言語用法はパロルで あるp.208。」と述べた。 言語学の一つのアプローチとして、ソシュールによる構造言語学は、発言のコ ーパスを対象して、音素、形態素、品詞、名詞句、動詞句と文のタイプという異 なる言語レベルを分類する、とういう手順を試みた。その手順は統合的 (syntagmatic)及び範列的 http://en.wikipedia.org/wiki/Course_in_General_Linguistics http://en.wikipedia.org/wiki/Syntagmatic_analysis LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 151 (paradigmatic)分析であり、シンタクス的及び辞書的な単位を全ての単位との 比較のシステムに基づいて記述する。 2. 歴史 構造言語学は、1916年に出版されたフェルディナンドソシュールのCourse de Linguistique Generale という本によって知られ始めた。この本は非常に影響力があり、現代の言語学及 び記号学の基盤に提供した。 ソシュールについで、構造言語学の歴史は、2つの方向に分けられるようになっ た。 最初に、レオナルドブルームフィールドがソシュールのコースを読んで、影響を 受けた。そして、1930年代中頃から1950年代中頃にかけては、アメリカの言語学 の段階にブルームフィールドの段階をもたらしました。ブルームフィールドは意 味論と意味のすべての質問は主に答えられないため、言語学へ機械学のアプロー チを奨励した。1957年にノーアムチョムスキーの「Syntactic Structures」の出版で生成意味論の模範を提唱して、ブルームフィールドの模範 を取り替えた。 次に、ヨーロッパで、ソシュールは、ロマン・ヤコブソンとニコライ・トゥルベ ツコイのプラハ学校に、特に音韻論の研究に注目し、またルイ・イェルムスレウ のコペンハーゲン学校に非常に影響を与えた。構造言語学は、人類学、精神分析 学及びマルクス主義などのヨーロッパの他の分野にも、さらに影響を及ばした。 そして、構造主義として知られている運動をもたらした。 3. 構造言語学の特性 次は構造言語学の特性である。 http://en.wikipedia.org/wiki/Paradigmatic_analysis 152 LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 (1) 行動心理学の理論に基づく。 言語の過程は「刺激・反応」(stimulus-response)という過程である。 (2) 言語は発話的なものである。 この特性によると、言語に含むものは発話だけと表す。言語教授法において は、構造の理論はオラルアプローチによる直接法を生み出す。筆記的なもの はジェスチャーのみとして認められる。 (3) 言語は独断的及び様式的な記号体系(語感と語尾)である。 (4) 言語は習慣的なものである。 言語教育は習慣になるまで繰り返したドリルと訓練を通して行われる。 (5) 文法性は一般性に基づく。 (6) 文法性のレベルはちゃんとした線状で示される。 文法性のレベルは音素の最低的なレベルから文という最高のレベルの線状で 示される。つまり、小林(1998)が述べたとおり、「言語の体系を音素、形 態素、語、句、節、文というような線状に連なる相識的構造ととらえる。」 (1) 言語は統合的及び範列的な並びである。 (2) 言語の分析は記述的に行われる。 (3) 言語構造の分析は直接的な要素に基づく。 直接的な要素というのはその構造を直接に形させるというものである。 基本的な理論 構造言語学の基礎は、サインのアイデンティティが統合的、範列的のどちらかによって 他のサインと対立である存在で決定しているという考えである。この考えは、言語から 分離してサインを調べることができるという考えと抜本 ばっぽん 的に対立して、言語学は言語を共時的扱わなければならないというソシュールのポイン トを強調した。 系列的な関係は頭(mind)に存在する音韻的なセットの cat, bat, hat, mat, fatまたは形態的にセットされたran,run, running LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 153 というような単位のセットである単位のセットは、他の単位と同じものを持っていなけ ればならない一方、対立でなければならない。そうしないと、区別されることができな くて、一つの単位に崩れてしまう(en.wikipedia.org)。小林(1998)は「ある構造を ほかの構造と区別する要因を、2頃対立という概念によって区別し、記述するp. 164。」と述べた。 統合的な関係は一時的で“the man hit the ball” 男の人は、ボールを打ちました。)あるいは“the ball was hit by the man”(ボールは、男の人に打たれました。)というようにお互いに対立する単位の列 から成っている。列の各パートで使える単位はそれを囲んでいる単位で測定される。し たがって、統合的と範列的関係の間に混交している影響があります。 統合的及び範列的関係は、講造言学者に、音韻論、形態論と構文(シンタクス)に対す る単純な分類法を提供します。たとえば、形態論をとりあげます。cat と cats のサインは頭で整理されて、cat という言葉で抽象的なパラダイムを生じます。これはcatという単数標識を複数標識化 するために‘s’を加えるに過ぎないと見える。しかし、統合的及び範列的な分析を通 して文の構文を発見することができる。 ヌルハディは「構造の理論は記述分析で有名であり、一般的には『直接的な下位要素の 分析』という主な手順に結合する。p. 182」とのべている。また、その例をヌルハディは次の通りに述べている。 Ketika ia datang, orang kampung itu sudah pergi Ketika ia datang, orang kampung itu sudah pergi Ketika ia datang, orang kampung itu sudah pergi Ketika ia datang, orang kampung itu sudah pergi 154 LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 そのほかに、次の他の2つの方法でも分析できる。 ///Ketika//ia/datang,///orang/kampung//itu///sudah pergi//// あるいは以下の樹形図の通りである。 日本語の場合は、玉村(2001)は次文を挙げて次のように分析できる。 会場 には 若い 人 が たくさん いた。 会場 には 若い 人 が たくさん いた。 会場 には 若い 人 が たくさん いた。 会場 には 若い 人 が たくさん いた。 (p.117) また、庵(2001、p.39)が述べた「とても美しい女性」は次の通りに分析さ れる。 4. 構造言語学の長所及び短所 構造言語学の長所及び短所はヌルハディ(1995、p.181)が述べたものに基づい て説明してみる。 a) 長所 とても 美しい 女性 Ketika ia datang, orang kampung itu sudah pergi LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 155 (1) この流派は書記表及び音素の概念を区別した。 (2) ドリルとプラクティスメソッドが習慣的な言語能力を成形する。 (3) 文法性の条件が普通性に基づくため、普通の社会にも認められる。 (4) 文法性の体系を音素、形態素、語、句、節、文というような線状に連なる 。 (5) 事実に基づく。 b) 短所 (1) 形態論と構文ははっきり区別される。 (2) ドリルとプラクティスメソッドは退屈させる恐れがある。 (3) 刺激・反応の過程は機会じゃない人間に対して生理的や機械的で行われる 。 (4) 文法性が普通性の条件に基づくため、正しくなくても一般に認められると したら、正しくなってしまう可能性がある。 (5) 言語分析に歴史的な要因は無視する。 (6) 研究の対象は文だけに限られる。コミュニカティブの要因には注目をしな い。 構造言語学による日本語教育 次は小林(1998、p.164-165)及び石田(2002、p.20- 21)が述べた構造言語学による日本語教育について要約してみた。 1) ASTP 第二次世界大戦中に、アメリカでは軍人を対象として、短期間に集中的に外国語 を教えるための特別な訓練を行った。この訓練はArmy Specialized Training Program 以下ASTPと呼ばれ、構造言語学や行動心理学の理論に基づいた外国語教授法であ 156 LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 る。そのとき、様々な言語がこの教授法によって教えられた。1943~44年には日 本語を含めて20数カ国が軍で教えられた。特に日本語教育では、多大な成果を収 めた。 林(1990)によるとASTPは次の特徴をもっている。 ア. 短期間の集中訓練であること。 イ. 1クラス10名以内の小クラス編成であること。 ウ. 言語構造の理解と口頭練習とのバランスがとれるように工夫されたこと 。 エ. 口頭練習を重視し、言語習慣形成による学習を目指としたこと。 オ. 音素分析と音素記号を利用したこと。 カ. 学習言語のネイティブ・スピカーを活用したこと。 戦後、米国における日本語・日本語研究者にはこのプログラムに関与した 人が多い。こうしたことから、ASTPは戦後の日本語教育に影響を与えた。(p . 116) また、林(1990)は、ASTPの成功の要因を次の通りに追加している。 ア. 学習者が言語適性検査によって選抜された者であったこと。 イ. 学習期間中は有給で、将来の保証があったこと。逆に成績の不良者原隊 に戻されるといった条件があったこと。 ウ. 尐数制のクラス編成だあったこと。 エ. 教室内外の事実的な訓練時間が多かったこと。 オ. 徹底的な音声指導が行われたこと。 (p.117) 2) オーディオリンガル・メソッド 約2年間ほど続けられたASTPはアーミー・メソッドとも知られたが、1950年代の 半ばにオーディオリンガル・メソッド(AL教授法)として、外国語としての英語 教育に応用されるようになった。この教授法も構造言語学や行動心理学(behavio LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 157 ral psychology)の理論に基づいた外国語教授法である。AL法はミシガン・メソッド 、フリーズ・メソッド、オーラル・アプローチとも呼ばれる。 林(1990)はこのAL教授法によって指導法は、次の3で行われる。 ア. 理解:本文の意味の説明を、特に新出語句と文構造の説明を中心にし て行う。 イ. 練習:二つの段階がある。 ① ミム・メム練習:mimicry(模倣)とmemory(記憶)の略で、学習すべ き文型の例文を教師(あるいはテープ等)に従って正しい発音で模 倣反復する作業をしながら暗記してしまう練習である。 ② 文型練習:代入、変形、拡張、回答などの種類がある。(p.119) ウ. 確認:ア.とイ.の段階の作業が十分に行われたかを確認する。 (p.119) 終わりに 構造言語学はスイスのフェルヂナンドソシュールがCourse in General Linguistiksという本を通して発表された言語学の一つの服分野である。この本でソシ ュールが述べた概念はパロル・ラング、能記- 所記、及び通時的・共時的による言語の分析である。ソシュールが述べた概念は記号学 者によって参考としてよく使われる。 構造言語学を基盤として教授法はArmy Specialized Training Program 以下ASTP(アーミー・メソッド)及びオーディオリンガル・メソッド(AL教授法、ミシ ガン・メソッド、フリーズ・メソッド、オーラル・アプローチ)である。日本語教育で は、これらのメソッドによる日本語教育は多大な成果を収めた。 http://en.wikipedia.org/wiki/Course_in_General_Linguistics http://en.wikipedia.org/wiki/Course_in_General_Linguistics http://en.wikipedia.org/wiki/Course_in_General_Linguistics 158 LANGUAGE CIRCLE Journal of Language and Literature IV/2 April 2010 参考文献 Hayashi, Ookii. 1990. 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